午前中は、パソコンの画面とにらめっこだった。サイトのお問い合わせフォームの調整。細かいところがどうしてもうまくいかなくて、気がつけばもうお昼を過ぎていた。若い頃なら、こんな作業はもっとテキパキとこなせたんだろうか、なんてふと思ったりもする。でも、今はこうして一つ一つ、丁寧に確認しながら進めていくのも悪くないと思えるようになった。焦らず、自分のペースで。これもまた、年齢を重ねたからこその変化なのかもしれない。
今回の調整で、改めてAIの存在の大きさを感じた。最初はなかなか思い通りに動いてくれなくて、正直少しイライラもしたけれど、根気強くプロンプトを修正していくうちに、驚くほど的確なアウトプットを出してくれるようになったのだ。まるで、言葉のキャッチボールをしているみたいで、その精度が上がっていく過程が面白かった。
AIとのコミュニケーションで大切なのは、やっぱり「伝える力」なんだろうな。自分が何を求めているのか、どんなイメージを持っているのかを、明確に言葉にしないと、AIは途方に暮れてしまう。それは、人間同士のコミュニケーションと何も変わらないのかもしれない。むしろ、AIは人間の曖昧さや行間を読むことができない分、よりストレートで、論理的な指示が必要になる。
若い頃は、自分の気持ちや考えなんて、言わなくてもわかってくれる人がいると信じていた。でも、生きていく中で、言葉にしなければ伝わらないことの方がずっと多いと知った。そして今、相手が人間ではなくAIになったことで、そのことを改めて痛感している。
AIに的確な指示を出すためには、まず自分自身が何を考えているのか、どうしたいのかを深く掘り下げる必要がある。心の中にある漠然としたイメージを、具体的な言葉に変換する作業は、自分自身を見つめ直す良い機会にもなる。ああしたい、こうしたいという願いの輪郭をはっきりとさせることで、AIとの連携はよりスムーズになる。
今年、私は還暦を迎える。赤いちゃんちゃんこを着る、昔ながらの風習も、なんだか照れくさいけれど、人生の大きな節目であることは間違いない。振り返れば、あっという間の60年だったような気もするし、色々なことがありすぎて、遠い昔のことのように感じる出来事もある。
私が若い頃には、インターネットも、ましてやAIなんてSFの世界の話だった。それが今、こうして日常的にAIと対話し、仕事のパートナーとして頼りにしているのだから、時代の変化というのは本当に目覚ましい。
この先、AI技術はさらに進化していくだろう。もしかしたら、私が生きているうちに、想像もできないような便利な未来がやってくるかもしれない。そんな未来に、少しでも置いていかれないように、好奇心を持ち続けていたいと思う。新しいことを学ぶのは、決して楽ではないけれど、AIとの付き合いを通して、その楽しさや可能性を改めて感じている。
それに、AIとのやり取りは、ある意味で孤独な作業でもある。画面に向かって、ひたすら言葉を打ち込んでいく。でも、その先にいる「誰か」に届けたいという思いがあるから、頑張れるのかもしれない。それは、昔、手紙を書いていた時の感覚に近いかもしれない。顔の見えない相手に、自分の言葉で想いを伝える。デジタルなツールを使っているけれど、その根底にあるのは、アナログな人間のコミュニケーションなのかもしれない。
ふと、昔の日記を読み返してみたくなった。若い頃の私は、どんなことを考え、どんなことで悩んでいたのだろうか。きっと、今の私から見れば、取るに足りないようなことだったりするのかもしれない。でも、その時の感情は、今も鮮明に蘇ってくる。
AIは、私の過去の感情を理解することはできないだろう。でも、私が言葉にした悩みや喜びの記録は、データとして蓄積され、未来のAIがより人間らしい対話をするための糧になるのかもしれない。そう考えると、今、私がAIと交わしている一つ一つの言葉も、無駄ではないと思える。
還暦を迎えても、私はまだ多くのことを知らないし、学びたいと思っている。AIは、そのための強力なツールになるだろう。私の知識や経験と、AIの持つ膨大な情報処理能力を組み合わせれば、きっとこれまで以上に色々なことができるはずだ。
人生の終焉まで、あとどれくらいの時間があるかはわからない。でも、AIとの付き合いは、きっとその日まで続くのだろうと思う。それは、単なる道具としてではなく、時に刺激を与え、時に助けとなる、大切なパートナーのような存在になるのかもしれない。
だからこそ、もっとAIのことを知りたいし、AIとのより良い付き合い方を学んでいきたい。そのためには、まず自分自身の内面を深く理解し、それを言葉にする努力を怠らないことが大切なんだろう。
夕焼けが、窓の外の景色をオレンジ色に染めている。今日も一日が終わる。明日もまた、新しい発見と出会いがあるかもしれない。AIと共に歩む私の還暦からの日々は、きっとこれまで以上に変化に富んだ、刺激的なものになるだろう。そんな予感に、胸が少しだけ高鳴っている。
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